赤面しない人生

夫の膣内射精障害によりスポイトを使ったセルフ人工授精で妊娠・出産した女の記録です

スポイトを使って妊娠しました

100均(たしかセ○ア)の文房具コーナーにあった6本セットのカラフルなスポイトを使って妊娠してからすでに3年経ちました。夫の精子を入れてもらったのはその日に食べたゼリーの空き容器。

この事は、家族にも2年前に無事に産まれた子供にも告げず墓場まで持っていこうと思っているんですが、世間には我が家と同じような事情で悩んでいる家庭もいるのではないかと思い文章にすることにしました。

 

夫は淡白で一人でするのが好きだと公言していますが、セックスそのものができなわけではありません。しかし、私の膣で射精することができないのです。調べてみると膣内射精障害という症状があてはまりました。 本人もこの事にはとても悩んでいたらしく、私も薄々ながら気が付いていたものの、追求できないままに日々を過ごしていました。 

私と夫はお互い奥手でモテるタイプでもなかったので処女と童貞のまま20代前半を迎えました。そして偶然の出会いをし、付き合って半年でようやく初セックスをし、以後は月1のペースでホテルに行っていました。しかし今思えばあれは「付き合っているのだから」という半分義務感でお互いこなしていた気がします。付き合って1年ほどして結婚。結婚生活も半年過ぎたころには完全なるセックスレス。スキンシップは人並み程度にはありましたし、夫婦仲は良好でしたが、セックスだけはなかったです。子供がほしかった私が排卵日あたりにお誘いをかければ応じてくれなくもない、というような状況でした。

私は最初はそれが私の魅力が足りないからだと不安に思っていましたが、原因は上記のとおり。一人でするのが楽だし、セックスでは射精に至らない。男性のプライドを考えれば当然の結果です。

 私も別にセックスが好きなわけではありませんでしたから、セックスができないことそのものに不満はありませんでした。でも子供は欲しい。夫も子供は欲しかったようです。

その頃の私たちには病院にかかるほどの根性も勇気はありませんでした。また田舎だったので通院できる病院にも限りがありましたし、そもそも射精できないのに病院でタイミング法を指導されてもどうしようもない事もわかっていました。病院へ行く=人工授精、体外受精のスタートであったのです。正直、治療のための時間と手間とお金のことを思うと「行こう」とは踏み切れずにいました。年齢的にはまだ焦るようなことはないし、誰に急かされているわけでもない。ただ、このまま時間だけが過ぎていって夫が私の膣内で射精できる日が来ると思えない。

悶々と過ごす日々の中で色々と調べてみると膣内で射精できない男性というのは案外多いらしく、夫はそのことにとても安心していました。それが原因で不妊に悩んでいる方もたくさんいるのだと。

そしてたどり着いた方法がセルフ人工授精でした。方法は至って簡単で、男性に容器内に射精してもらった精子を器具を使って膣内に注入するというものです。ある病院ではセルフ人工授精を推奨して注射器と容器を提供までしているらしいと。 さらに調べていくと、店頭で売られている針のない注射器(シリンジ)やスポイトを使ってセフルで人工授精をするという方法があることを知りました。これだ、と思いました。

 

そして冒頭の道具を揃え、実行して2度目の排卵周期に私は妊娠しました。

それから9か月後、無事に子供を出産しました。

子供はすでに2歳を過ぎ、健康にすくすくと育っています。

 

今思えば、何も文房具用のスポイトでなくてもよかったのにとか、ゼリーの容器ではなく紙コップでよかったのじゃないかとか突っ込みどころはたくさんありますが、それだけあの当時の私は必死だったのだと思います。文房具用のスポイトは小さく、一度に少ししか精子を吸い上げきれないし、挿入するのはとても痛かったし膣に精子注入するのは大変でした。よくまぁやったと自分でも思います。

 

何故、文章にするのが今なのかというと今まさに二人目のためにセルフ人工授精による妊活に挑んでいる最中だからです。今回は前回の反省を生かし、スポイトではなく化粧品用のシリンジを使っています。しかしまたもセリアで売っているものです。スポイトと違い、シリンジは非常に楽に挿入注入共に実行できました。お勧めです。

 

 

妊娠出産を経て得たものも失ったものもたくさんあります。ただ夫と二人過ごしていた日々が懐かしいと思う日がないわけではありません。でも、やって良かったと思っています。子供はかわいいです。

もし、私と同じように悩んでいるご夫婦がいればチャレンジしてみる価値はあるとおもいます。